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[本002]プリズン・ガール/有村 朋美 [ノンフィクション]

★★☆☆☆
有村 朋美「プリズン・ガール—アメリカ女子刑務所での22か月」




海外の刑務所ドキュメントが好きで
見つけたら読んでいる。


アメリカの刑務所というのは
日本の常識からすると
考えられないほど自由度が高いらしい。
犯罪者を更正させるとか反省を促す為というよりも
マトモな市民の生活を脅かす存在を
社会から追い出してしまおうという側面が
ものすごく強い。
だから、犯罪者を刑務所に入れた時点で
その目的はほぼ達せられてるということになるんだろう。
自然、管理の基本は「面倒をかけてくれるな」になる。
あとは勝手にしろ、というわけ。

そんな状況だから刑務所内は
むきだしの本能に支配されている。
社会から切り離され、
混乱状態に置かれた現代人は
いったいどうなるのだろう?という疑問に
リアルに答えてくれる題材のように思える。

さて、今まで読んだのは
全て男性、しかもほとんどが凶悪犯の収容される
最高の警戒レベルを持つ刑務所での話だった。
では女性刑務所はどうなのかしら。

この本を読む限り、
女性刑務所では男性刑務所ほどの
過酷な精神修行を強いられることはないようだ。

男性刑務所での話で思い知るのは、
同じ親切でも「敬意」に基づくものは重要だけど、
「なあなあ」や「弱気」が絡むと命取りになるということ。
日本人の調和的な性格は仇になるのだ。
しかし、この本の著者は
日本人的調和性を十分に発揮して
監獄で人気を得ている。

著者の性格も大きいのかもしれないけど、
概して女性刑務所はフレンドリー。
男性刑務所が終末世界のような様相を呈しているのに対し、
女性刑務所はちょっと厳しい全寮制の学校のようだ。
以前から、男女の性差について、
男性は大きな世界を、
女性は小さな世界を求めているという
根本的な違いがあると感じていたのだけど、
この本もまさにそういう感じ。
男性は常になわばりを意識し、
より大きな世界を築こうとする。
女性は小さな世界をより濃密にすることを好む。
まあ、もちろん個人差はあるのだけど。

ただ、さっきも少し書いたけど、
この本から受ける女性刑務所の印象は
著者の性格によるもののようにも思える。
女性刑務所の本をもう少し読みたくなった。


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